
2026年3月26日、Anthropicは自社AIアシスタント「Claude」のワークツール(コネクター)機能が、モバイルアプリでも利用可能になったことを公式Xアカウントで発表しました。
これまでWebブラウザやデスクトップアプリでしか使えなかったFigma・Canva・Amplitudeなどの外部ツール連携が、ついにスマートフォンからも操作できるようになったのです。
この記事では、Claudeモバイル版ワークツールの機能内容、使い方、具体的な活用シーン、そしてどんな人にオススメなのかを徹底解説します。
そもそもClaudeのワークツール(コネクター)とは?
Claudeのワークツールとは、AIチャットの中から外部のビジネスアプリを直接操作できる機能です。Anthropicが2024年にオープンソースとして公開した「Model Context Protocol(MCP)」という技術をベースに構築されています。
MCPは、AIモデルと外部ツール・データソースを接続するための共通規格で、OpenAIやGoogle、Microsoftも採用しています。つまり、業界標準のプロトコルを使った信頼性の高い連携方式です。
2026年1月26日に初めてWebとデスクトップ向けに9つのアプリ連携が公開され、Slack、Figma、Canva、Asana、Amplitude、Hex、monday.com、Box、Clayが利用可能になりました。
そしてこの度、これらのワークツールがスマートフォン(iOS/Android)のClaudeアプリからも利用できるようになった、というのが今回の大きなアップデートです。

モバイル版で何ができるのか?主要ツール別の機能紹介
今回モバイル対応となった主なツールと、それぞれでできることを見ていきましょう。
Figma(フィグマ)— デザイン・ダイアグラム作成
FigmaはUI/UXデザインや図表作成で広く使われているツールです。Claudeと連携することで、テキストや画像からフローチャート、ガントチャート、各種ダイアグラムをFigJam上に直接作成できます。さらに、Figmaのデザインを参照してHTML/CSSのコードを生成したり、デザインシステムの変数をチェックすることも可能です。
スマホからでも「来週のスプリントのフローチャートを作って」と指示するだけで、Figma上にダイアグラムが自動生成されるイメージです。
Canva(キャンバ)— プレゼン・デザイン制作
Canvaとの連携では、プレゼンテーションのアウトライン作成から、ブランディングのカスタマイズ、クライアント向けデッキの仕上げまでをリアルタイムで行えます。
移動中に「明日の営業ミーティング用のスライドを5枚で作って」と頼めば、Claudeがアウトラインを構成し、Canva上でデザインまで完成させてくれます。
Amplitude(アンプリチュード)— プロダクト分析
Amplitudeはプロダクトアナリティクスツールとして知られています。Claudeを通じて分析チャートを作成し、トレンドをインタラクティブに探索したり、パラメータを調整して隠れたインサイトを発見することができます。
公式の投稿画像にもあるように、「アクティベーション率が一晩で40%も跳ね上がった原因を調べて」といった質問をスマホからClaudeに投げかけるだけで、Amplitudeのデータを引っ張ってきて分析結果を返してくれるのです。
Slack — メッセージの検索・下書き・送信
Slackとの連携では、過去のSlack会話を検索してコンテキストを取得したり、メッセージの下書きを作成してフォーマットを整え、送信前にプレビューで確認することが可能です。スマホから通勤中に「昨日のチーム会議で出た重要ポイントをまとめてSlackに共有して」といった使い方ができます。
その他のツール
Asanaではチャットからプロジェクトやタスク、タイムラインを作成できます。Boxではファイルの検索やドキュメントのプレビュー、内容の分析が可能です。Hexではデータに関する質問を自然言語で行い、インタラクティブなチャートやテーブルで回答を得られます。monday.comではボードの更新やタスクの割り当て、進捗の可視化ができます。Clayでは企業調査や連絡先の検索、パーソナライズされたアウトリーチの作成が行えます。
使い方・設定方法
Claudeモバイル版でワークツールを使い始める手順は非常にシンプルです。
①ClaudeのiOSまたはAndroidアプリを最新版にアップデート
②WebブラウザまたはデスクトップアプリのClaude上で、使いたいコネクター(Figma、Canvaなど)を事前に接続
③コネクターの追加は、チャット画面左下の「+」ボタンから「Connectors」を選択
④利用したいサービスを選んでOAuth認証を行う
一度Web/デスクトップで接続を完了すれば、同じアカウントでログインしているモバイルアプリでも自動的にコネクターが利用可能になります。なお、現時点ではモバイルアプリ上からの新規コネクター追加やディレクトリの閲覧はできないため、初期設定はPC側で行う必要があります。
チャット中にコネクターを使うときは、たとえば「Figmaで新しいフローチャートを作って」「Slackの#generalチャンネルに進捗報告を送って」のように、自然な日本語で指示するだけでOKです。Claudeが適切なツールを自動で選択し、操作を実行してくれます。
対応プランと料金
ワークツール(コネクター)機能は、Claudeの有料プランであるPro(月額20ドル)、Max(月額100ドル〜)、Team、Enterpriseの各プランで利用可能です。無料プランでは利用できません。
重要なポイントとして、コネクターの利用に追加料金は発生しません。サブスクリプション料金に含まれているため、対応プランに加入していれば、好きなだけツールを接続して使うことができます。
どんな人にオススメ?具体的な活用シーン
外出・移動が多いビジネスパーソン
営業や出張が多く、PCを開けない場面でも仕事を止めたくない人には最適です。移動中にスマホからSlackの下書きを作成したり、Asanaのプロジェクトタイムラインを更新したりできます。「電車の中でも仕事が進む」という感覚が得られるでしょう。
プロダクトマネージャー・データ分析担当
Amplitudeとの連携は、PMやアナリストにとって非常に強力です。突発的にKPIの異常値を発見したとき、わざわざPCを開かなくてもスマホからClaudeに質問するだけでデータを確認・分析できます。意思決定のスピードが大幅に上がります。
デザイナー・クリエイティブ担当
FigmaやCanvaとの連携により、アイデアが浮かんだ瞬間にスマホからダイアグラムやプレゼンの骨子を作成できます。ひらめきを逃さず、形にするまでのスピードが劇的に短縮されます。
スタートアップの創業者やフリーランス
一人で複数の役割をこなす必要がある人にこそ、この機能は威力を発揮します。Claudeをハブとして、コミュニケーション(Slack)、プロジェクト管理(Asana/monday.com)、デザイン(Figma/Canva)、データ分析(Amplitude/Hex)をすべてスマホ一台から統合的に操作できるのは大きなメリットです。
リモートワーカー
自宅のPCとは別に、カフェや外出先でもシームレスに作業を続けたい人にとって、モバイル対応は待望のアップデートです。PCで作業していた内容をそのままスマホで引き継げるため、場所を問わない働き方が実現します。
メリットと注意点
メリット
最大のメリットは、タブやアプリの切り替えが不要になる点です。従来はSlackを開き、Figmaを開き、Asanaを開き……と複数のアプリを行き来する必要がありましたが、Claudeをハブにすることですべてを一つの画面から操作できます。これにより、コンテキストスイッチ(タスク切り替え)によるロスが大幅に削減されます。
また、自然言語で操作できる点も大きな利点です。各ツールの操作方法を覚える必要がなく、「〜して」と日本語で指示するだけでClaudeが適切な操作を行ってくれます。ITリテラシーを問わず、誰でもすぐに使いこなせます。
さらに、セキュリティ面では、アクション実行前に必ずユーザーの確認プロンプトが表示される仕組みになっています。Slackでメッセージを送信する前にはプレビューと編集が可能で、うっかり送信してしまう心配はありません。チームプランやエンタープライズプランでは管理者がMCPサーバーの利用を組織レベルで制御できるため、セキュリティポリシーへの準拠も確保できます。
注意点
まず、現時点では無料プランでは利用できないため、最低でもProプラン(月額20ドル)への加入が必要です。また、モバイルアプリ上から新しいコネクターを追加することはできないため、初期設定はPC側で行う必要があります。
加えて、各連携サービス自体の有料プランが必要なケースもあります。たとえばFigmaの高度なMCPサーバー機能を使うには、Figma Professionalプランが必要になる場合があります。Claudeの利用料金と各サービスの利用料金は別なので、トータルコストは事前に確認しておきましょう。
競合との比較
同様の機能としては、OpenAIのChatGPTが2025年10月に導入した「Apps」機能があります。ChatGPTでもCanva、Figma、Spotifyなどのサードパーティツールをチャット内で操作できますが、Claudeの場合はMCPというオープンソースのプロトコルがベースになっている点が大きな違いです。
MCPはすでにOpenAI、Google、Microsoftも採用しており、業界横断的な標準規格になりつつあります。つまり、Claudeで接続したツールの仕組みが、将来的には他のAIプラットフォームでもそのまま使える可能性があるということです。ベンダーロックインを避けたいユーザーにとっては、MCPベースのClaudeの方が安心感があるといえるでしょう。
まとめ
Claudeのワークツールがモバイル対応したことで、スマホ一台でFigma・Canva・Amplitude・Slackなどを操作できるようになりました。
AIチャットがただの「会話ツール」から「仕事そのものを動かすプラットフォーム」へ進化した、象徴的なアップデートです。外出先でも止まらないワークフローを実現したい方は、ぜひ試してみてください。

